すべての動物は誕生したあと、成長・成熟し、やがて歳をとり一生を終えます。このような動物の一生における各段階を「ライフステージ」と呼びます。
ライフステージごとに、適切な栄養管理を行うことが、ペットの健康と長生きにとってとても大切です。
今回からは、犬と猫の各ライフステージで気をつけてあげたい食事のお話をしたいと思います。
【成長期はいつまで?】
下の図は犬と猫の成長期がいつまでか、の目安を示したものです。犬は種類によって体格差が大きく、そのサイズによりライフステージの長さが異なります。
【成長期の前半と後半で、成長速度や消化能力に大きな違いあり!】
犬も猫も成長期の前半は身体が急速に成長し、犬は生後2ヵ月、猫は生後4ヵ月齢を過ぎると成長速度が次第に緩やかになります。
① 成長に合わせて摂取カロリーを調整しよう
成長期は、成犬・成猫の食事と比べ、エネルギー密度を高めたフードが必要ですが、成長のステージによって調整が必要です。
成長期の前半は、急速な成長のために多くのカロリーを必要とする時期です。その一方で、消化吸収能力が未熟なため、一度に少量しか食べることができません。そのため、消化が良くて、高カロリーに調整された食事を与えると良いでしょう。
成長期の後半は、成長速度が緩やかになり、消化吸収能力も発達してきます。また、成長期後半には脂肪組織の発達が進むため、成長期前半と同じ高カロリー・高栄養のフードを与えていると、カロリーオーバーになってしまう可能性があります。
② 消化しやすいエネルギー源をチョイス
子犬・子猫は初めのうち、母乳に含まれる乳糖は問題なく消化できますが、デンプンはうまく消化することができません。このため早い時期からデンプンを与えすぎると、うまく消化・吸収できずに下痢をすることがあります。
生後1ヵ月ごろから離乳がはじまり、徐々に固形食に移行します。成長と共に、食事に含まれるデンプンを消化する能力が発達していき、逆に乳糖を消化するための酵素の分泌は減ってきます。
子犬・子猫の消化吸収能力の発達に合わせ、エネルギー源の種類や量を調整することも大切です。
一口に成長期と言っても、同じペースで成長し続けるわけではありません。
成長期は前半と後半に分けられ、それぞれの成長速度が違うために、エネルギー要求が異なること。
未熟な消化吸収能力が徐々に発達し、その発達に合わせたエネルギー源が必要となることに注意しましょう。
次回は、成犬期と成猫期、また避妊・去勢後についてお話ししたいと思います。